スウェーデンのケア
先日、スウェーデンのケアについて、講演会に行ってきました!
SQC(Sweden Quality Care)という、
スウェーデンのケアを海外に紹介するための団体の、
エーミルさんという方が講演されていました。
この方自身も視覚障がいをお持ちとのことでしたが、
元気に講演されていました!
今回は、講演の内容について、簡単にまとめてみました。
「今さらスウェーデン」と感じる方もいるかもしれませんが、
やはり長年高齢者福祉に対し、社会として真摯に向き合ってきた歴史には、
学ぶことが多いのではないかと思いました。
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◆スウェーデンのケアの特徴
・ノーマライゼーション…認知症の人でも一般の人と同じような生活が出来る。
・自己決定権…人それぞれの違いが存在する中で、本人の意思を尊重する。
・自立支援…自分で出来ることは自分でして頂き、介護しすぎないように注意。
・個別ケア…一人ひとりの違いを尊重してケアを行う。
この辺りは、日本でも考え方として受け入れられてきていますね。
実践出来ているかは、また出来る環境にあるかは別の話ですが。
◆スウェーデンと日本の制度的違い
①財源の違い
スウェーデンの高齢者福祉は全て税金で賄っている。
日本では保険制度で1割負担となっている。
つまり本人の所得によってケアに差が出ることがない。
必要性があれば誰でも受けられる福祉制度となっている。
②介護の担い手の違い
スウェーデンは専業主婦がいない社会で、
共働きが当然であるため、家族が介護の役割を期待しない制度設計になっている。
日本では専業主婦が存在していたため、家族の介護力を前提とした制度設計。
③ケアの設計者の違い
ニーズ判定委員という専門家が、ケアの計画をつくる。
3年半の専門教育を通じて、
高齢者福祉の法律、ニーズ、地域のサービスの状況について把握しており、
本人や家族へのヒアリングを通じてサービスを組み立てる。
日本では実務経験5年を経たケアマネジャーが、
資格試験に合格した後、ケアプランを作成している。
スウェーデンでは、国が全面的に責任を持って、
社会福祉を行う仕組みになっていることが良くわかります。
◆認知症のケアで大事にしていること
・症状のコントロール…治癒を目的としていない。コントロール。
・チームワーク…本人の家族、職員などが協力する。
・家族への支援…「認知症は家族の病気」と考えられており、家族が対応に悩む。
・コミュニケーション…家族などへの情報提供が重要である。
これも、重要さは日本でも理解されていると思います。
しかし、一番最初のコントロールに重点を置いているのは、
認知症に対する理解が、日本と異なっている可能性を感じさせます。
◆日本のケアとの大きな違い
①看取り場所の違い
日本と違い、病院で亡くなる人はかなり少ない。
多くの方が家や施設で亡くなる。
回復の見込みがなければ、点滴や管を使うことはなく、
自然死を推進している。
死亡診断書にドクターのサインは必要なく、看護師のサインがあればよい。
かつては、病院で亡くなる方が多かったが、徐々に変わっていった。
政策として、病院にお金を使うのをやめ、
施設や自宅で看取る際にお金を使うように変えていった。
スウェーデン社会では、治療よりも環境が重要だと今は考えられている。
ちなみに、入院時間もとても短く、
たとえば骨折しても10日以上入院することはまずない。
出産後も第1子は2日間、第2子は1日のみ。
リハビリなどは家で行うことが通常である。
②リスクよりもアクティビティ
リスクを避けるのではなく、アクティビティや本人の愉しみを優先する。
何かあったら大変だからと外出をしなかったりするのではなく、
なるべく最後まで外で楽しんだり遊んだりする生活を続けてもらえるようにしている。
その一環として、公共料金と同じ値段でタクシーなどの送迎を受けられる。
1回1千円程度で、1か月乗り放題しても上限が1万円になっている。
食事においても、たとえば施設でもお酒を飲んだり、
甘いものを食べたりすることに大きな制限をかけない。
ワインを飲んだりすることは日常的。
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講演のまとめは以上です。
ちなみに、講演で認識を新たにしたのが、
スウェーデンも100年前は福祉国家ではなかったということ。
国民の意識が変わり、国民の意思で税金を上げ、
長い時間をかけてつくりあげていったのが、現在の福祉制度だそうです。
制度として定着しなければ、社会全体としては変わらない。
けれども、社会の認識を変えることが第一歩なのは間違いないと思いました。
さかさデイと逆ショートも、そんなサービスとしていきたいです。