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本人もまわりも、長生きを喜べる社会

「長生きなんてするもんじゃない」
「寂しいもんだよ」

これ、90歳前後で介護施設に入居されているお年寄りを、
病院に連れて行ったときに言われた言葉です。
一週間ぐらいのうちに、一人ではなく三人ぐらいから聞きました。

そんなに寂しいこと言わないでくださいよー
―こんな風に返したと記憶していますが、
いま、介護施設に入居されたお年寄りが寂しい思いをしているのは間違いないと思います。

いまだに家族でも面会が制限されている施設が多いですし、
オンラインの面会も全員が出来ているわけではありません。

去年今年とお花見をはじめとしたイベントの多くはキャンセルになり、
外食や買い物に行くこともままなりません。

施設によっては、感染対策のため、食事のタイミングを分けて、
一テーブル一人で食べられるようにしているところもあります。

「長生きなんてするもんじゃない」と三人から立て続けに言われたときに、
このコロナ禍だけとは言えない、もっと根本的な問題があるのではないか、
という気がしました。

そんなことを考えていたときに、ちょうど読んだのがこちらの本です。

 

タイトルは「世界が注目する日本の介護」
サブタイトルが「あおいけあで見つけた じいちゃん・ばあちゃんとの向き合い方」

この本で紹介されている「あおいけあ」は、神奈川県藤沢市にある、
グループホームと小規模多機能型居宅介護を運営している会社です。

帯には「最高の認知症ケア」と書かれている通り、
認知症のケアで、国内だけではなく、台湾やフランスなどから見学者が多く訪れる、
とても注目されている施設だそうです。

またNHKのプロフェッショナルでも、代表の加藤忠相(かとうただすけ)さんが取り上げられたことがあるそうです。

この本では、そんな「あおいけあ」がやっているケアとは、
どんなケアなのかが、漫画と文章を交えて書かれています。
(漫画が圧倒的に多いので読みやすいです!)

詳しくはぜひ読んでみて頂きたいのですが、
心に残ったことを羅列すると…
・自分がされて嫌なことは認知症のお年寄りにもしない
(好きなタバコやお酒をとりあげない、強制しない、「何もさせない」ことをしない)
・目指すべきはその人への「ケア(介助)」それ自体ではなく、そのお年寄りとの人間関係
(認知症の人は記憶が弱くなる半面、感情に敏感になり相手の感情を察知しやすい)
・コミュニケーションも人間関係をつくるためにある
(最終的には、認知症のお年寄りの心を動かすこと)
・アセスメント(情報収集)では、病気や問題行動よりも、アイデンティティ(存在意義)とストレングス(強み、得意なこと、出来ること)に注目する
(その人らしさは、本人が得意なことをしてほめられ、楽しい時間を過ごしているときにこそ発揮される)
・お年寄りに真剣に向き合っていると、お世話どころか教えられることや学ぶことが多い
・「わける」、すなわち分断から始まる共生なんてない
(誰かが一方的に支えてあげるではなく、お互いがそれとなく支えあえる)
・施設の中でやれば「介護」になることが、施設の外でやると「地域共生ケア」になる
(散歩ではケアだが、地域のごみひろいになると地域に役立つ)

読んでいて気づきましたが、コロナ禍で明らかになったのは、
介護施設が抱えている「関係の弱さ」だと思いました。

介護施設だと、入居する際に、それまでの地域や家族、社会との関係が切れてしまいます。
どんなにいい言葉を取り繕っても、これはやはり事実だと感じます。

肝心なのは入居後に、新しい関係を築けるかということなのだと思います。
スタッフをはじめ、入居者同士、そしてそのホームがある地域の人たち。
コロナ禍で明らかになったのは、その関係性の弱さであったのではないかと思いました。

そんな関係を築いていけるような仕事をしたいと思っています。
そして、長生きを、本人も、まわりも喜べるような社会にしたいです。

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